「西部戦線異状なし」って、最強の反戦映画じゃない?
第三回アカデミー賞 作品賞および監督賞を受賞した、不朽の反戦映画です!
この映画を観る前は、戦争映画があまり好きじゃないということもあり、もっと重たくて暗い映画かと思っていました。
・・・そしたら、なんとも素晴らしい映画ではないですか!
普段ハッピーエンドなチアフル映画ばかりが好みだったのに、この反戦映画には心打たれました!
さすが第1次世界大戦と第2次世界大戦の間の時代に製作されたオスカー映画です。
それもそのはず、原作はドイツ出身のエーリヒ・マリア・レマルクという作家が書いた世界的ベストセラーの反戦小説なんだそうです。
Wikipediaにも書いてありますが、この映画の独特なところは、アメリカ映画なのにドイツ側からの視点で描かれた戦争映画だということですね。
この頃のハリウッド映画はイギリスが舞台になっていたり、本作のようにドイツだったりとロケ地が外国というだけでなく、主人公や環境もガッツリ外国というのが新鮮でした。
他の記事でもいくつか書きましたが、反戦映画は、ただ戦争の厳しさや悲惨さを描くだけでなく、そもそも戦争に行く人間が誰なのか?、どんな家庭で生まれ、どんな幸せを夢見て、誰と恋をしながら過ごしてしたのかを描かれていると強烈に心に響きますね。
穏やかな生活が突然、よくわからない政治的理由により台無しにされる、それが戦争だと教えてくれます。
また、親の目線からも、大切に長い時間と愛情をかけて育ててきた子供を突然、奪われてしまうという戦争の悲惨さや理不尽な怒りを描かれていると胸に突き刺さります。。
このあたりのオスカー作品は、本当にメッセージ性が強くて、そして描き方が卓越してます!
監督は、旧ロシア帝国生まれでアメリカに帰化したルイス・マイルストーン。
実は第1回のアカデミー賞で1927年の映画「美人国二人行脚」が喜劇監督賞に輝いています。
1931年の映画「犯罪都市 (原題:The Front Page)」は、後の1974年にあのビリー・ワイルダー監督がリメイク(「フロント・ページ」)していたりもします。
そしてなんと、「オーシャンズ11」シリーズの元となった映画「オーシャンと十一人の仲間」(主演はフランク・シナトラ)の監督は、何を隠そうこのルイス・マイルストーンなんですね☆
主演俳優は、リュー・エアーズ。
彼はこの映画に主演したこともあり、本作公開後9年後に再び勃発してしまった第2次世界大戦には反戦を唱え、兵士ではなく看護兵を志願したのですが、時代的にまわりの人間から非難されてしまったそうです。
これが戦争時代の怖いところですよね。国民が一丸となって参戦を美化しはじめてしまう風潮が巻き起こる。昔ならラジオや新聞が扇動したんでしょうか?今ならテレビやSNSでしょうか。。。フランク・キャプラ監督の映画じゃないけど、群衆は怖い。。。
リュー・エアーズは3度結婚していますが、2人目の妻はなんと女優のジンジャー・ロジャースです!
ミュージカル映画「恋愛手帖」や「有頂天時代」で有名な美人女優さんですね。
ちなみに、ジンジャー・ロジャーズは生涯で5回結婚しました(笑)
仕事面では、ケーリー・グラント主演の映画「素晴らしき休日」で、主演女優キャサリン・ヘプバーンの弟役を演じています。
また、後年、映画「オーメン2」に出演したり、TVドラマ「私立探偵マグナム」などにも出演しています。
そしてリュー・エアーズは、もはや往年のスターのお決まりコースともいえそうな(笑)TVドラマ「刑事コロンボ」にゲスト出演しています。
第23話「愛情の計算」で殺害されてしまうニコルソン博士役を演じていたのですが、気づきましたか?
「西部戦線異状なし」は、ぜひ戦争が起きそうな時代にたくさんの方に観てもらいたいなぁ〜!
私は、作中で、この戦争が誰と誰がどうして起こしたのかよくわかってもいないのに、大人にたきつけられて訳もわからず軽いノリで志願兵となってしまった学生たちが1人残らず死んでいくシーンや、それを知って泣き叫ぶ家族のシーンなどが頭に焼きついています。
また、兵士たちが疲労困憊となり、食べ物もろくにとれない状態で「戦争なんて起こさずに政治家のトップ同士が裸で殴りあいでもして、さっさと決着つけてほしい」という旨の発言をしている場面などに戦争の真実が浮かび上がっていた気がして、忘れられません。
悲惨なシーンもあるけど、観終わった後はそれ以上に反戦への共感が強く湧き上がってくる。戦争を二度と起こすべきじゃないと本気で願っている人達がいる、少なくとも、いたんだという事実になぜか心が軽くなるんですよね。
さらに、本作のような反戦映画がアカデミー賞を受賞したという記録に、勇気づけられ救われます。だから、私としては観て落ち込むような映画では決してなかったですし、むしろまた観たくなる心を鼓舞してくれる映画でした。
「西部戦線異状なし」を観て、あなたなら、どんな感想を持ちますか?